第17回学術大会の報告

【開催日時】

2021年11月6日(土)


【場所】

東北大学青葉山新キャンパス:東北大学災害科学国際研究所



【会長ご挨拶】



地球システム・倫理学会会長

近藤誠一(Seiichi Kondo)





基調講演

13:15〜14:30


災害科学国際研究所 前所長・

宮城女子大学前学長

平川 新(Arata Hirakawa)



1950(昭和25)年、福岡県うきは市生まれ。

 東北大学大学院文学研究科修士課程修了。東北大学東北アジア研究センター教授、同センター長などを経て、2012年4月に新設された災害科学国際研究所の初代所長に就任。2014年4月から20年3月まで宮城学院女子大学長。文科省文化審議会専門部会委員、東北歴史博物館協議会会長、福岡県うきは市ふるさと大使ほか、多くの役職を務める。

 専門は日本近世史(江戸時代史)。2003年の宮城県北部地震を契機に立ち上げたNPO法人宮城歴史資料保全ネットワークの理事長として、災害から古文書や文化財を守る活動を展開してきた。また2007年に今村文彦教授と共に東北大学防災科学研究拠点を立ち上げて、文理連携の災害研究にも取り組んできた。同拠点が中核となって災害科学国際研究所が開設された。震災に関する編著として、『東日本大震災を分析する』全2巻(今村文彦氏と共編、明石書店)がある。

 歴史研究では、『紛争と世論-近世民衆の政治参加』(東京大学出版会)や『開国への道』(小学館)などで江戸時代論の見直しを提唱。『戦国日本と大航海時代-秀吉・家康・政宗の外交戦略』(中公新書、2019年和辻哲郎文化賞受賞)で、大航海時代におけるヨーロッパ勢力の世界進出と豊臣秀吉の朝鮮出兵の関係や、鎖国を可能にした日本の国力など、新たな解釈を提示して話題になった。





対談

災害時に役立てたい優しい日本語 -日英対照の観点から

14:30〜15:10



武蔵野大学 名誉教授

地球システム・倫理学会常任理事

佐々木 瑞枝(Mizue Sasaki)


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宮城大学教授

フェラン・ティモシー(Phelan Timothy)



京都生まれ、山口大学教授(1988年〜1993年)、横浜国立大学教授(1993年〜2003年)を経て武蔵野大学大学院教授(2003年〜2013年)、現在名誉教授、金沢工業大学客員教授、釜山外国語大学名誉文学博士、Asahi Evening Newsコラムニスト(1985年9月〜1996年9月)
「日本語ってどんな言葉?」で第44回産経児童出版賞受賞(1997年)
専門は日本語教育学、文科省検定国語教科書(中学、光村図書)に日本語教育の視点を入れた書き下ろし文が掲載。主な著作『外国語としての日本語』(講談社現代新書)、『日本語を外から見る』(小学館)、『似ている日本語』『知っているようで知らない日本語のルール』(東京堂出版)、『クローズアップ日本事情15』(ジャパンタイムズ社)他多数。NHKテレビ『日本語なるほど塾』などに出演。
日本語をジェンダーの側面から見た『日本語ジェンダー辞典』(東京堂出版)(2009年6月)日本語ジェンダー学会会長(2000年〜2011年)など日本語におけるジェンダー論も展開している。

米国コネチカット州生まれ。大学時代、日本に留学(1977~1978年)。
文部省英語指導主事助手(1979~1980年)フェリス女学院大学専任講師(1984~1986年)恵泉女学園短期大学専任講師(1986~1988年)を経て恵泉女学園大学助教授(1995~1996年)明治大学政治経済学部専任講師(1996~1998年)
米国にてトヨタ、ボルボ、ハートフォードライフインターナショナル部門ビジネスコンサルタントを経る(1998~2000年)ハートフォード生命保険株式会社(社長通訳、社内広報課長通訳・翻訳担当、2001~2008年)。宮城大学教授(国際交流・留学センター長を経て、現在基盤教育群副群長、2008年~現在)
元日本コミュニケーション学会理事。
専門:異文化理解・異文化研究、グローバル教育。



シンポジウム

40〜1:30


〜災害経験を将来のレジリエンと社会構築に活かすには?〜



安田 喜憲(Yasuda Yoshinori)

三重県いなべ市出身、専攻は環境考古学。理学博士(東北大学、1978年)。1974(昭和49)年東北大学大学院理学研究科博士課程中退。理学博士。1977年広島大学総合科学部助手となり、1988年に日文研助教授、1994年に教授に就任。1997年には京都大学大学院理学研究科教授を併任する。

東北大学大学院環境科学研究科特任教授、立命館大学環太平洋文明研究センター長、ふじのくに地球環境史ミュージアム前館長、国際日本文化研究センター(日文研)名誉教授。日本熊森協会顧問。

紫綬褒章(2007”平成19”年)・瑞宝中綬章など受賞

安田喜県『環境考古学事始』NHKブックス1980”昭和55”年他38冊の日本語単行本、英語単行本、中国語単行本、韓国語単行本、と英語論文がある。

服部 英二(Eiji Hattori)

1934年生まれ、比較文明学者、京都大学大学院にて博士課程単位取得後、仏政府給費留学生としてパリ大学(ソルボンヌ)博士課程に留学、1973年よりUNESCO本部勤務、主席広報官・特別文化事業部長等を歴任、「科学と文化の対話シンポジウムシリーズ」「シルクロード;対話の道総合調査」等を企画実施し、「世界遺産」・「未来世代の権利」・「文化の多様性」・「文明間対話」・「通底の価値」等の国連からの新概念の発出に深く関与した。

1994年退官と同時にUNESCO事務局長顧問、継いで同事務局長官房特別参与に任命さる。1995年フランス共和国より学術功労章オフィシエ位Officier de l’Ordre des Palms Académiquesを受勲。 2010年全国日本学士会よりアカデミア賞受賞。

麗澤大学・同大学院教授、国際比較文明学会ISCSC副会長、日仏教育学会会長、地球システム・倫理学会会長等を歴任、現在地球システム・倫理学会会長顧問、比較文明学会名誉理事、世界ユネスコクラブ連盟名誉会長・麗澤大学国際研究所客員教授。

主な著書に『文明の交差路で考える』(講談社現代新書)、『文明間の対話』・『文明は虹の大河』(麗澤大学出版会)、“ Lettres from the Silk Roads”・“Deep Encounters”(University Press of America)、『転生する文明』(藤原書店)、『地球倫理への旅路』(北海道大学出版会)等、監修に『科学と文化;未来への共通の道』・『地球との和解』・『文化の多様性と通底の価値』(麗澤大学出版会)等、他に共著多数。

蛯名 裕一(Yuichi Ebina)

1975年、青森県青森市生まれ2010年東北大学大学院国際文化研究科博士課程後期修了。

博士(国際文化)、2010年東北大学東北アジア研究センター教育研究支援者、2012年東北大学災害科学国際研究所助教、2015年より現職。専門は日本近世史、歴史災害史。NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク理事。

古文書に記される災害記録を解読・分析し、歴史災害の規模や当時の社会に与えた影響、また先人たちが自然災害とどのように向き合い、生活を営んできたかについて研究を進めている。特に1611年に発生した慶長奥州地震津波などの歴史災害の解明や、過去の疫病流行と地域社会の対応の分析など、文系・理系の研究分野の枠にとらわれず、学際的な研究でその実相を解明することを目指しており、地域に残る歴史資料の保全活動や、災害時に様々な文化遺産を保全するための文化遺産マップの構築などに取り組んでいる。

・著書

蝦名裕一,『よみがえるふるさとの歴史2 慶長奥州地震津波と復興―400年前にも大地震と大津波があった』,蕃山房,2014.

大石 芳野(Yoshino Oisi)

東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。

大学卒業後、戦争や内乱が残す不条理な傷跡に苦悩しつつも逞しく生き続ける人びとを、カメラとペンで追う。1972年から沖縄戦を生き延びた人びと、1980年からカンボジアのジェノサイドの痕跡、1981年からベトナム戦禍の傷、1986年からアウシュヴィッツなどの生還者、1990年からチェルノブイリ爆発事故後の被曝者、1984年からヒロシマと1997年からナガサキの被爆者。2002年からアフガニスタンやコソボ、スーダンなど。2011年5月から東電の原発事故によって苦悩する人びとと。

1971年からパプア・ニューギニア、隠岐の島、庄内など土着の文化や風土を大切にしながら暮らす人びとなど姿もカメラで追っている。

写真集=「戦争は終わっても終わらない」「子ども戦世のなかで」「夜と霧は今」「HIROSHIMA半世紀の肖像」「沖縄に活きる」「無告の民 カンボジアの証言」「カンボジア苦界転生」「ベトナム凜と」「<不発弾>と生きる 祈りを織るラオス」「コソボ 破壊の果てに」「子ども戦世のなかで」「福島 FUKUSHIMA 土と生きる」、「戦禍の記憶」「長崎の痕」他。 

「パプア人」「ワニの民~メラネシア芸術の人びと」「隠岐の国」他。 

著書=「沖縄 若夏の記憶」「夜と霧をこえて」「生命の木」「あの日、ベトナムに枯葉剤がふった」「小さな草に」「女の国になったカンボジア」他。

共著=「魂との出会い」鶴見和子、「黒川能~庄内にいだかれて」馬場あき子、「レンズとマイク」永六輔、他。 受賞=土門拳賞、エーボン女性大賞、紫綬褒章、JCJ賞、他。

中村 圭子 (Keiko Nakamura)

1936年東京生れ。生命誌研究者。東京大学理学部化学科卒。同大学院生物化学博士課程修了。理学博士。国立予防衛生研究所、三菱化成生命科学研究所を経て東京大学先端科学研究所客員教授、早稲田大学人間科学部教授。1993年JT生命誌研究館を創立し副館長、大阪大学連携大学院教授。2002年館長、2020年名誉館長。「生命誌」は、生きものとしての人間について生命科学が解明する事実をもとに、生命、人間について考え、生き方を探る総合知である。科学が描く自然の「密画的世界」と日常生活、芸術、宗教、人文学の中にある「略画的世界」の「重ね描き」により「生命論的世界観」を提示していく。「重ね描き」は哲学者大森荘蔵の構想したものであり、あらゆる学問分野の知を活かし、世界を一元論で捉えることを可能にする。生命誌は、たとえば「ゲノム」に注目する。それは、生きものが歴史的生成物として多重構造を持つこと、普遍性と個別性を同時に持つことなど、その特徴を見事に示すからである。ここから生まれる「生命論的世界観」の面白さを多くの方と共有したいと願っている。その先に暮らしやすい社会が見えるからである。

 著書:「自己創出する生命」(ちくま学芸文庫)「生命誌とは何か」(講談社学術文庫)「絵巻とマンダラで解く生命誌」(青土社)「中村桂子コレクション いのち愛づる生命誌(全8巻、最新巻は「生る 宮沢賢治で生命誌を読む」)(藤原書店)

ボレー・セバスチャン(Boret Sebastien)

1977年生まれ、フランス出身、オックスフォード・ブルックス大学で人類学の博士号を、オックスフォード大学で修士号を取得。研究分野は、日本、インドネシア、フランスにおける災害、死、悲嘆、公衆衛生、環境など。

「生と死と災害」の人類学者であり、現在は東北大学災害科学国際研究所の准教授。また、環境科学研究科および東アジア研究センター(CNEAS)の准教授でもあり、人類学と災害科学を教えている。現在の研究「Death in Time of Crisis - Ditoc」(2019年~)では、災害後のコミュニティにおける大量死の管理と公衆衛生について調査している。3.11の日本での災害、2004年のアチェでの津波、2003年のヨーロッパでの熱波の中での埋葬、葬儀、追悼の政策と実践を検証。社会福祉、公衆衛生、そして災害コミュニティの全体的な復興を向上させるような、死者とその犠牲者を扱う方法を見つけることを目的とし、日本学術振興会は、フランス国立科学研究センター(CNRS)およびインドネシアのサイアクアラ大学と共同でこのプロジェクトを支援している。2020年 情報管理・社会連携部門 国際研究推進オフィスのボレー セバスチャン准教授の「災害と死」に関する学際的および実践的研究が高く評価され、英国王立人類学協会(RAI)より2020年 Lucy Mair Medal & Marsh Prize for Applied Anthropology が授与。受 賞 名:Lucy Mair Medal & Marsh Prize for Applied Anthropology. 授与機関名:英国王立人類学協会(Royal Anthropological Institute).2020年 デジタルアーカイブ学会 学術賞 (論文賞) 「東日本大震災の事例から見えてくる震災アーカイブの現状と課題」、2018年「Aceh International Workshop and Expo on Tsunami Recovery」最優秀論文賞(佐藤祥介氏、Anawat Suppasri氏、Sébastien Penmellen Boret氏、中川雅治氏、今村文彦教授による論文「Archiving Disaster Remains: The Case Of "Sasanao Factory" In Yuriage Village, Natori City, Miyagi Prefecture, AIWEST conference, Banda Aceh, 11 October 2018.

著書に「Japanese Tree Burial: Ecology, Kinship and the Culture of Death」、編著に「Death in the Early Twenty-First Century: Authority, Innovation and Mortuary Rites"

【被災地見学・懇親会

学術大会後に被災地見学と懇親会を開催しました。