地球システム・倫理学会第8回学術大会&比較文明学会第30回学術大会 合同大会プログラム
主催:地球システム・倫理学会&比較文明学会
後援:京都大学こころの未来研究センター・京都府ほか
日時:2012年11月16日(金)~11月18日(日)
会場:稲盛財団記念館大会議室・中会議室・小会議室
◆全体テーマ:「地球的危機と平安文明の創造」
◆全体テーマ趣旨:
地球温暖化・異常気象や人口問題、エネルギー・資源問題、様々なレべルでの格差な「収奪文明」がもたらす数々の「地球的危機」が押し寄せる中で、どのような持続可能な「還流的平安文明」(循環調和型の平らかで安らかな、平和・安心・安全・安寧の文明)を創造し構築できるのかを探る。
比較文明学会では、持続千年首都「平安京」という名を持つ「みやこ」京都で第30 回という節目の学術大会を開催するに際して、世界各地の「みやこ」が、地震・津波・噴火・寒波・熱波・洪水・台風・エルニーニョ・ハリケーン・ツイスターなどの諸「災害」をどう受け止めながら生き抜いてきたのかを具体的に検証しつつ、「災害」に立ち向かう「みやこ」の比較文明論を討議していく。
【大会第1日:2012年11月16日(金)】
14:00-17:00(受付:13:00-)
地球システム・倫理学会主催の講演とシンポジウム
個別テーマ「言葉の危機と再発見)」
◆基調講演:山折哲雄(国際日本文化研究センター元所長・名誉教授)「日本語のいのち」
◆シンポジウム:「日本語のちから」
発表者 :佐々木瑞枝(武蔵野大学)「平安―和語の世界」
鈴木貞美(国際日本文化研究センター)「日本語の生命力」
ポーリン・ケント(龍谷大学)「『菊と刀』から紛争処理へ」
鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター)「神話と歌にみる言霊思想」
司会:松本亮三(東海大学・比較文明学会会長)
コメンテーター:伊東俊太郎(東京大学名誉教授)
服部英二(地球システム・倫理学会会長)
◆テーマ趣旨:地球システム・倫理学会は、さまざまな「地球問題群」を学問的に討議しつつその解決策を探り具体的実践へとつなげていく「地球と人類の未来を考え実践する会」であり、新しい「地球主義と平和」を希求し、「地方から地球へ、競争から共生へ、エゴからエコへの枠組転換」と「物と力の僕としての知識から心と命の主としての智恵(普遍的真理、実践的倫理)への転換」をはかる学術機関である。その地球システム・倫理学会が比較文明学会との合同学術会議を行なうにあたり、「地球的危機と平安文明の創造」を全体合同テーマとした。そして、地球システム・倫理学会は独自個別テーマとして「地球問題群」の中から「心を命」を表わす「言葉」の問題を取り上げる。文明と文化の危機は、そこに生きる人々の「言葉」の危機として表われている。その言葉の問題を根本のところから掘り下げ、「日本語」の「いのち」と「ちから」を再発見・再措定する。
【大会第2日:2012年11月17日(土)】
10:00 –12:00 地球システム・倫理学会、他有志による「JT生命誌研究館」見学
JT生命誌研究館(館長:中村桂子)、
所在地:〒569-1125 大阪府高槻市紫町1-1
14:00 –18:00
比較文明学会主催の講演とシンポジウム
個別テーマ「みやこと災害の文明論」
14:00 –15:40 講演
司会:阿部珠理(立教大学)
講演1:原田憲一(京都造形芸術大学)「災害の深化と減災の知恵」
講演2:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター)
「持続千年首都・平安京の生 態智」
講演3:松本亮三(東海大学)「文明の衰亡と災害」
15:40 –16:00 休憩
16:00 –18:00 シンポジウム
司会:中牧弘允(国立民族学博物館)
パネリスト1:陣内秀信(法政大学)「イタリア(ローマ・ヴェネチア)」
パネリスト2:村瀬智(大手前大学)「インド」
パネリスト3:秦兆雄(神戸市外国語大学)「中国」
18:30 –20:30 懇親会@カンフォーラ(京都大学正門入ってすぐ左)
【大会第3日:2012年11月18日(日)】
9:30 – 17:00
自由論題発表
大会議室:パネル(比較文明学会・地球システム倫理学会合同)
中会議室:個人発表(比較文明学会・地球システム倫理学会合同)
小会議室:個人発表(比較文明学会・地球システム倫理学会合同)
小会議室:控室
14:40 –17:40
地球システム・倫理学会主催の公開シンポジウム
個別テーマ:「古典と伝統知」
パネリスト;
丸井浩(座長:東京大・インド思想)
宮本久雄(上智大・ユダヤ・キリスト教思想)
手島勲矢(日本学術会議・ユダヤ・ギリシア思想)
池田修(元大阪外語大学長・イスラーム・アラブ文学)
井出元(麗澤大・儒教、道教思想)
コメンテーター:
鎌田東二(京都大・日本思想)
板垣雄三(東京大名誉教授・イスラーム思想)
◆ テーマ趣旨:古典的な名著をじっくりと読むことは、いつの時代にあっても、そして基本的にはどの学問分野においても重要な基礎となるはずである。多くの先人たちが時代の差異を超え、あるいは地域の差異を超えて読み継ぎ、沢山の思索をめぐらしてきたようなテキストを、いま広い意味での「古典」と呼ぶならば、古典を読み継いでいく伝統は、学術の発展、ひいては人類文化の繁栄にとって欠くべからざるものと思われる。ところが現実はどうかといえば、古典、古典的名著はますます読まれなくなってきている。なぜなのだろうか。その理由はいくつもあると思われるが、現代という時代の特殊性がその背後に大きく働いているに違いない。
いささか乱暴なとらえ方になるかもしれないが、西洋近代以来、進歩と革新を旗頭としてきた科学・技術の進展は著しく、いまや、「経済成長・物的繁栄」ならびに「市場原理=競争原理」をよしとするグローバルな潮流が加速度を増す中で、さまざまな矛盾を露呈する時代状況に、私たちは直面しているのではないだろうか。旧弊を脱し、自由にものごとを考え、新しい思考の地平を開いて、その成果を現実世界の中に役立てようとする創意工夫・技術革新の営み(イノベーション)は、それはそれで素晴らしい意味をもっているだろう。しかしだからといって、営々と築いてきた過去の伝統を、安易に切り捨ててよいであろうか。
新しいメニューを開発して、さらに美味な食文化を開発しようとするチャレンジ精神と、老舗の味を守り続けようとする地道な伝統保持の努力とは、いずれも互いにゆずれない大切な意義を担っている。それと同じことが、学術の世界、あるいは広く思想・文化の領域においても、あてはまるはずだ。競争しながら新たな知見や技術の開発、組織・制度・様式の改革をひたすら追求しようとする方向性ばかりでなく、過去から積み上げ、発展してきた知的、文化的伝統を、おのおのが依って立つ時代と社会の中でその固有の意義を見直しつつ、未来世代へと受け渡していこうとする保持・継続の精神もまた、同じように大切にしなければならないはずだ。
歴史と伝統の重みを、今ともに生きる時代と社会の中で受けとめ、未来社会へと紡ぎつないでいこうとする営みが持つ意義を考える一つの糸口として、世界各地に息づく古典的テキスト(宗教聖典を含む)の研究において第一線で活躍する学者たちが、それぞれの専門領域を踏まえながら、古典研究の今日的重要性をあらためて問い直し、伝統知の継承・発展の未来社会的意義を論じ合う場を作る必要があろう、というのが本シンポジウムの企画に至ったゆえんである。
◆実行委員会組織:
実行委員長 :鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター)
副実行委員長:小倉紀蔵(京都大学人間・環境学研究科)
◆実行委員:日置弘一郎(京都大学)、中牧弘允(国立民族博物館・比較文明学会副会長)
原田憲一(京都造形芸術大学・比較文明学会前副会長)、山下範久(立命館大学)、
赤坂信(千葉大学)、龍村あや子(京都市立芸術大学)、保坂俊司(中央大学)、
榎本のぞみ(東京理科大学)