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創刊の辞

創刊の辞
伊東俊太郎

 われわれはいま、21世紀の初頭に立って、人類と地球の未来を真剣に憂うる事態に直面しています。地球温暖化をはじめとする環境問題、生物種の絶滅など の生態系の危機、核兵器や生命操作などの科学技術による文明の歪み、宗教対立によるテロや暴力の発生など、人類史において未だかつてなかったような、見通 しのつかない不穏な時代に突入しています。この危機的状況を克服して、これからの人類の存立を後世に確保してゆくためには、もはや、1地域、1国家、1文 化、1文明にとどまっていては解決できず、まさにそれらの問題を地球的連関において考察し、そのシステムとしての倫理をあらためて構築してゆくほかはない でしょう。このような地球的問題群の解決に向かって、自然・人類・文化・文明の新しい在り方を創り上げるために、その間の調和的「地球システム倫理」を構 想し、実践してゆくことは、これからの人類の喫緊の課題であります。そのためには、これまでさまざまな領域に分断されていた知識や経験を、生ける地球と人 類の存続という目的に向かっての新しい英知として再統合すべく、分野を異にする同じ志の人びとが結集し、世界にさきがけて訴えてゆくことが必要でありま す。
われわれは、このような方向の研究を進め、その実現を期するための市民的な新しい学会、「地球システム・倫理学会」を2006年に設立し、2月には創立総 会をもちました。その成果を収め、さらにこの方面の最近の書物、国内外の情報なども伝え、われわれの運動をさらに拡げてゆくために、『地球システム・倫理 学会会報』を創刊し、ここに第1号を送り出すこととなりました。本誌を媒介として本学会が益々発展し、21世紀の人類の、よりよき生存のために寄与するこ とを、つよく願ってやみません。

2006年10月25日